あなたをこれ以上 愛するなんて わたしには 出来ない
テレサテンの「別れの予感」をYoutubeで聴く。
というのも、手伝ったイベントでトークしていた児童書作家「みずのまい」さんに『お願いフェアリー 再会はドラマティックに!!』という出版ほやほやのシリーズ最終巻を頂いたからだ。あとがきにも書かれてあるが、テレサテンの「別れの予感」が、この巻の通奏低音として流れているとのこと。小学生高学年の女子向けの小説で、とにかく装丁がキラキラしていて、敷居が高かったのだが、23巻も続いた小説を読まない手は無い。
主人公の名前は「水野いるか」。作家自身の、あるいはペンネームの名字を主人公に使うとはなかなか攻めてるなとか、名前の「いるか」はやはり「なごり雪」なのかとか、男子の「柳田貴男」は国男か邦男へのオマージュなのかとか、小学生の頃を思い出して、同級生に淡い恋心を持ったことや、だからといって恋愛することなど考えたことは無かったなとか、少年ドラマシリーズを欠かさず観ていたことや、中学生の頃には萩尾望都とかの少女SF漫画を読んでいたなとか、いろいろ浮かんでくる。今を生きる子供たちの聖域に足を踏み入れるようで複雑な気持ちにもなるが、小さな女の子と背の高い純朴な男子という、みつはしちかこ『小さな恋のものがたり』を代表とする定番キャラクターの恋を描きながら、子どもたちに必要な哲学と、先の見えない現代社会を生き抜く知恵と希望を込めた良い本です。
トークで「どんなおばあさんでもテレサテンを歌うと必ず色っぽくなる」とみずのさんが語っていたのが印象的でした。