スマートフォンの登場でビデオ撮影も超お手軽になった現在でも、写真の人気は衰えることが無い。映像という視点から、1枚の写真には少なくとも、90分の動画に匹敵する何かがあるのではないだろうか。さすがにフィルムカメラの新製品はほぼなさそうですが、それでも街に一つはフィルムを現像してくれる写真屋さんが現存しています。
コロナのおかげというのもなんですが、あくせくしなくても許される時期がやってきて、若いころからから集中してやってみたかったフィルム写真とその白黒現像に手を出すことができました。父親の遺したコンパクトカメラ3台(Canon Autoboy、Konikca C35 AF、OLYMPUS mju: ZOOM 140)をはじめに、安い物ばかりですが、二眼レフ(Yashica Flex)を1台、コンパクトカメラを6台(minolta AL-E、minolta HI-MATIC 7 x2、Yashica ELECTRO 35MC、PETRI Color 35E、OPTIMA 335)、一眼レフを4台(minolta SRT-101 x2、Nikon EM、Nikon F3)、120フィルムのトイカメラ(HOLGA 120)を1台手に入れ、3台は修理をあきらめ、一眼レフ2台は人にあげました。
カメラを調べるうちに、これはいいなと思うコンパクトカメラがありました。PETRI Color 35です。大正6年にカメラの生産を始めたペトリ(旧:栗林写真機械製作所)は、戦後、労働闘争の末に倒産して、労働組合の経営となり、その後衰退していったのですが、かつては日本を代表するカメラメーカーだったそうです。
「㐧4次ペトリ斗争 勝利記念」と銘をうたれたカメラが今やネットで転売されていたという、この無常感とも相まって、いつかPETRI Color 35を手に入れたいと考えるようになりました。個体数も多くは無いようで、中古でもそれなりの値段(といっても一万円前後)です。以前、安く出ている後継機の35Eを手に入れてみたのですが、露出計が壊れていて、今のところ直せていません。35Eの露出はフルオートなので、露出計が動かないとちゃんと撮れないのです。
先日、ネットオークションでふと目に入ったブラックカラーのPETRI Color 35。これを手に入れない限り、永遠にこのカメラで撮影することはないだろうと直感し、とうとう手に入れたのです。少し難ありとのことでしたが、思ったほどの問題はなく、修理無しで使えそうです。
とりあえず納得できるカメラが揃ったので、ようやくフィルムカメラ選びの沼から抜けることができそうです。あとは写真を撮影/現像して、自分が何を見ているのか、見ようとしているのかを見極めたいと思います。