タバコと平和

ある方から今年のお年賀にピース缶をいただいた。両切りタバコはワイルドだ。何を思って贈ってくれたのかわからないのだが、自分の関わっていることに繋がっていたりもするのが面白い。65年前にビキニ環礁での米軍による水爆実験で第5福竜丸など日本の漁船や現地の人々が被爆した。その事件を受けてここ杉並を発祥とする水爆禁止署名運動が興ったのだ。その署名運動のポスターは初めのデザインでは原子雲と原爆ドームが描かれていたらしい。水爆禁止署名運動杉並協議会議長の安井郁は「私たちは原水爆の脅威から来る暗い面よりも、その禁止から来る明るい面を強調することを心がけました。明るい未来を目指す運動においてこそが、民衆のエネルギーは大きく盛り上がるのです」と考え、ピースの箱の青を基調に文字だけのデザインに変更したそうだ。今回杉並で初展示する丸木位里・俊の描いた原爆の図第10部《署名》はその明るさやナショナリズムを感じさせるモチーフに対して当時、批判を受けていたのだが、水爆禁止署名運動の意思を受けてのものだとしたら、《署名》の絵は平和への意思がこもった希望を感じさせるものになるはずだ。

今年の三月に開かれる《署名》展示イベント「原爆の図第10部《署名》を見よう」の情報は https://peace-suginami.org/ をご覧ください。