日本では神仏混淆の江戸幕府が倒れ、明治政府によって廃仏毀釈や神社合祀が行われた。仏像を破壊して埋めたり、寺院を燃やしたり、神木を売り払ったりしたのだ。新国民は我先にとその破壊に協力したという。20年前にタリバンがバーミヤンの仏像を破壊した時、そのビデオをテレビで見た時に、明治政府の行った非道とは違うのではないかと思った。その時、僕は爆煙の「バラモンのにおい」を感じると同時に、確かに彼らの嘆きを聴いた。すでに信仰の対象でもなく、遺跡として打ち捨てられていたバーミヤンの仏像。その仏像を壊すことで世界にアフガニスタンの実情を訴えようとしたのではないだろうか。その時若かったタリバンの彼らも高齢になっただろう。東西冷戦の犠牲となったアフガニスタンに平穏な日々が訪れることを願ってやまない。