山頭火を生きる:三月八日

降つても照つても、晴れても曇つても、風が吹いても、春が来てゐることに間違はない。
日がさすと、雲雀が出てきてあるいてゐる、私も出てあるく。
緑平老、春風春水、一時到!
新酒二合の元気で、街へ山へ。
酔はねばさびしいし、酔へばこまるし。
歩いてゐると、足がしぜんに山の方へ向く、私は本能的に山が好きだ。

・遠山の雪のひかるや旅立つとする
・影も春めいた草鞋をはきかへる
・春がきてゐる土を掘る墓穴
 これだけの質草はあつてうどんと酒
・みちはいつしか咲いてゐるものがちらほら