最近は子どもを産むことを、経済的な「生産」と捉える人が多いそうだ。「富国強兵」のプロパガンダがうまくいっているのだろう。
ファシズムも共産主義もキリスト教も拒絶して、人間は生産したり役に立ったりしなければならないという価値観に徹底的に抵抗したのがジョルジュ・バタイユだ。彼は非生産的で有用性のないもの、そして蕩尽に神聖なものを見た。
バタイユは「結婚は先ず第一に合法的な性欲の枠である」と考え、「結婚がどの範囲でも麻痺させることのないほど深い愛は、不倫の愛に染まらないで、近づくことができるものだろうか?不倫の愛だけが、愛には掟よりも強いものがあることを教える力をもっているのであるから。(エロティシズム P.118)」とした。
今を生きるわたしたちはこう言おう「性別を越えた(LGBT)愛だけが、愛には掟(生産性)よりも強いものがあることを教える力を持っている。」と。
バタイユの草稿をまとめた『呪われた部分 有用性の限界』の目次には刺激的なタイトルが並んでいる。
第1部 呪われた部分 有用性の限界
第1章 銀河、太陽、人間
第2章 非生産的な浪費
第3章 私的な浪費の世界
第4章 生の贈与
第5章 冬と春
第6章 戦争
第7章 供犠