恐ろしい本を読んだ。原武史『滝山コミューン一九七四』。近所の古本屋で100円で売ってなければ読むことのない本だろう。帯には「僕は感動した。子供たちの裏切られた共和国だ‼︎」との高橋源一郎の推薦文。
1970年代、著者が東久留米の滝山団地で過ごした小学生活の思い出を描いているのだが、可哀想になるぐらいに暗い。そして40歳半ばにもなる明治学院大学の教授時代(2007年)にこの本を出版してしまうほどに傷ついてしまっている。
全生研がそのイデオロギーによって作成し、各地の学校で実践されたらしい「学級集団づくり」。
集団の名誉を傷つけ、利益をふみにじるものとして、ある対象に爆発的に集団が怒りを感ずるときがある。そういうとき、集団が自己の利益や名誉を守ろうとして対象に怒りをぶっつけ、相手の自己批判、自己変革を要求して対象に激しく迫ること――これをわたしたちは「追求」と呼んで、実践的には非常に重視しているのである。
『学級集団づくり入門』第二版
この手引書は1971年発行。連合赤軍が12人の仲間をリンチ殺人してしまった山岳ベース事件があったのも、1971年から1972年にかけてのことだ。時にエートス(ある社会集団・民族を支配する倫理的な心的態度)というものは暴走してしまう。パトスとの対立。
原武史は同世代だが、地方だからか、付属の小学校だったからか、自分はこういう教育を受けた覚えはない。どちらかというと放任主義的なところがあったように記憶している。
彼には早く立ち直って欲しい。