一点の美術作品を目指した創作版画。日本では版画家という職業が認められたが、欧米には版画家という肩書は無いと聞いている。たとえ自画・自刻・自摺であっても、それは複製を前提とした「Print」であって、複製芸術として成立した。ある創作版画家は、海外のギャラリーでは刷りが少しでも違うと受け取ってくれないと嘆いていた。たとえば恩地孝四郎の版画は完全な複製が出来るものは少ないがしかし、装丁作家でもあった恩地の作品は印刷を前提としたものも多かった。それは商品になりにくいものだ。そういう意味においても版画は民衆芸術なのだろう。