かつての美術としての創作版画と社会運動としての版画運動に作家が行き来していたことからもわかるように、版画の世界はある意味狭い。版画を習っていたアートスクールの助手だった年上の女性との恋愛と結婚が終わって、版画の世界からは身を引いたつもりだった。(彼女は現役の版画作家として作品を作り続けている)しかし原発が爆発して、いろいろな出会いがあって、2014年から、もう一度版画に取り組むことになった。
A3BC:反戦・版画・反核コレクティブをみんなで立ち上げる前に確か3回ほどイレギュラーリズムアサイラムで木版画のワークショップを行った。その後は毎週木曜のA3BCで作品制作とともに、また、反核、反戦の抵抗の現場でのワークショップを行ってきた。今回、春に始めた自由芸術大学で版画教室を始める。父親に教師となることを要求され、拒否してきた自分としては居心地の悪い気もするが、絵を趣味とする母親を早くに亡くした人にあじさいの版画を作る方法を教えたいと思ったのがきっかけだ。
A3BCは反戦と反核をテーマとした抵抗の版画を作るコレクティブだが、自由版画教室は自由をテーマとした個人的で情緒的なワークショップになるだろう。作品が揃ったらそれぞれの参加者が作った版画で展覧会を開いてみたいと考えている。そこにあじさいの版画はあるだろうか。