宗教や洋服やPCやスマホや時計などブランドにこだわる気持ちが分からないわけではありません。それらは「アイデンティティ」という「言葉」に接続しているのでしょう。カメラについて、以前はニコンというこだわりがあったのですが、子どもの頃に聴いたポール・サイモンの「僕のコダクローム」の影響でしかありません。ニコンのカメラにコダクロームフィルムを入れて撮るのが理想と考えていた時期があります。「僕のコダクローム」は、フォークソングと資本主義が繋がってしまった、いい悪いは別として、歴史に残る一曲なのだと思います。話は変わりますが、最近、フィルム写真というものを再発見して、現在の状況を知るためにネットを徘徊していたら「シャッターガール」というブログを見つけました。2009年から続く、カメラ好きの人のブログです。初期の写真は、ブログのサブタイトルにもあるように、写真が大好きなふつうの人がちょっといいカメラを使って撮った写真という感じでしたが、今や芸能人のポートフォリオを撮影するまでのプロ写真家として認知されているようです。その成長ぶりと、素人でなくなってしまった、現在の苦悩が手に取るように分かります。今までに見たブログの中で一番面白いかもしれません。「美術館女子」という言葉が騒動になっているようですが、それぞれの原理主義が興隆しているのでしょうか。
カテゴリー: 写真
ピンぼけ
YASHICA ELECTRO 35 MC × KODAK ULTRAMAX 400
ASA400のKODAK ULTRAMAX 400を、目測カメラ、ヤシカエレクトロ35MCに入れて、スナップ写真を撮りました。ピンぼけの写真は曇り空からパーッと日が差して来た時に、ふと目に付いた自動販売機。ピントを合わせ忘れたことに気づいたのですが、撮りなおすことはあえてしませんでした。驚きの技術で、失敗の無いように機械が気を使ってくれる今日において、ピンぼけは、一つの手わざなのかもしれません。
アトムレンズ
MINOLTA SR-T101 x MC W.ROKKOR-SI 1:25 f=28mm x FUJIFILM 業務用 100
28mmの中古レンジファインダーフィルムカメラを探していましたが、どれも元々が高級カメラらしく中古でもお高いので、安いものはないかと目にとまったのが、28mmレンズの付いたジャンク扱いのミノルタSRT101。ユ-ジン・スミスが「水俣」の撮影に使った名機とのこと。送られてきたカメラはかなり傷んでいるようです。メンテナンスをしてなんとか使えそうになりましたが、28mmレンズを付けてファインダーを覗くとなんだか黄色い。コーティングというわけでもなさそうなので、調べてみると、この「MC W.ROKKOR-SI 1:25 f=28mm」はアトムレンズというものらしい。放射性物質の酸化トリウムを添加したレンズで、トリウムの含有量が多いものだと、2.0μSV/hrを越える放射能を出し続けているそうです。恐ろしいレンズを手に入れてしまいましたが、実はアトムレンズはけっこうたくさん作られていたようです(Radioactive lenses)。さすがに今は作られてはいないそうですが、放射性廃液の「ガラス固化体」はこの技術を使っているのだろうなと思うと、考えさせられるものがあります。
アトムレンズは放射能のせいで黄変が進行するとのこと。このレンズは1969年発売なので、50年の経年黄変があります。紫外線を当てると黄変が改善されるらしいのですが、せっかくなので放射能を通した世界を写真に収めようと、黄変したままのレンズを持って、東大和の薬用植物園に行きました。薬用植物園には2~30年前に一度行ったことがあって、燃やした煙を吸うと、あっという間に気が狂ってしまうらしい大麻という植物や、根っこを食べると朝まで走り続けてしまうらしい、ハシリドコロという毒(ロート)を持った草などが生えていて、驚いた覚えがあります。アトムレンズで撮影するにはちょうどいいかなと思いました。
大した放射能ではないとはいえ、反核の自分としてはこのレンズをいつも持ち歩くわけにもいかないので、他に放射能無しの28㎜レンズを手に入れないとなりません。このレンズは押し入れの奥にでもしまっておいて、いつか原子力発電所を撮ろうと思います。
分解したミノルタSRT101は糸だらけの面白い機械でした。この連動糸は50年以上切れずにいるようです。シャッター音がえらく大きいので普段は使いにくそうですが、これぞ一眼レフといった硬派なカメラです。
地蔵前公園
YASHICA ELECTRO 35 MC × FUJIFILM 業務用 100
地図を調べると、近所に地蔵前公園というのがありました。地蔵があるのだろうと行ってみたら、たしかに二体鎮座しています。前掛けで全体は見られませんが、三猿が彫られているものもあります。様々な人たちがいろいろな思いで作ったのでしょう。疫病に対する庶民の行動としては、道祖神や庚申塚を調べた方がよさそうです。道祖神は神奈川や信州、秋田に多いそうですが、杉並には天沼熊野神社に最近(2002年)置いたのがあるようです。柳田、折口、熊楠を読みなおそうと思います。まずは柳田国男の『石神問答』から。
ヤシカエレクトロ35
YASHICA ELECTRO 35 MC × FUJIFILM 業務用 100
ヤシカエレクトロ35MCが届く。電池を入れて確認すると、緑のランプも付くし、露出計も生きていた。裏蓋のモルトがきれいに剥がされていたので、貼り込んだ。ファインダーも清掃する。夕方、近所を散歩して試し撮りをしました。手のひらに収まるサイズのカメラ、スナップには使いやすいですが、やはりASA100だとブレてしまいます。ASA400のフィルムを使おう。
暗室、その後
コロナ禍下で暗室をつくっていましたが、窓にそれ用のカーテンを下げても、上下左右の隙間から光が漏れて、結局、夜にしか作業できませんでした。そんな時にタイミング良く、隙間用の暗幕を知り合いのプロの写真家から頂いて、カーテンレール部分の隙間は完全に防げたのです。両脇と下部をどうするか迷った末に、100円ショップの磁石テープとマグネットバーで止めることにしました。ついに窓は完全に遮光出来ました。換気扇は黒い屋外フードを取り付けてかなり漏れはなくなりましたが、ほんのり光って、換気扇を付けるとシャッターが空くので現像中は回せません。エアコンを入れる予定はなく、これからの夏の暑さとの闘いが待ち受けていますが、どちらにしろやる気次第ということなのでしょう。
子育地蔵・馬頭観音石仏群
Yashicaflex x ILFORD HP5 PLUS / MINOLTA AL-E x 業務用 ISO100
疫病といえば大仏だ。そろそろどこかで建立し始めるのではないだろうか。かつては飢饉や疫病といえば神仏に頼るのが日本の常だったが、最近は政府に頼ることになっているらしい。オウム真理教の事件以降、宗教的な事柄はあまり表に出なくなっていると思う。今やいろんな新興宗教が出てきてもおかしく無いご時世になっているのではないだろうか。あてにならない政府に、悲痛な声が聞こえてくる。どれだけ政府に懇願してみても、救われることはないだろう。古の人々がどのように危機を乗り越えてきたかを感じるために、地蔵を探してみた。荻窪の北、今川に「子育地蔵・馬頭観音石仏群」というのがあるらしい。開発などで撤去されたお地蔵さんを安置している場所のようだ。二眼レフを持っていく。そこは小さいが落ち着く場所だった。二眼レフにはISO400の白黒フィルムを入れていたが、さて撮ろうと設定しようとすると目盛りが200までしかない。YashicaFlexは1950年代のカメラなのだ。今回も露出とピントで散々だった。再度撮影しに行こうと思う。露出計を修理したミノルタのコンパクトカメラAL-Eでもスナップを撮ってみる。フィルムには場所場所の空気感も写っているように思えた。
思い出
MINOLTA AL-E x ORIENTAL New Seagull 100
ジャスピンコニカはピントが甘い時があるので、ネットで探してみたら、格安でよさそうなミノルタAL-Eがあったので手に入れた。レンジファインダーのピントには驚きがある。ところが環境を破壊するということになっている、水銀電池はもう作られてないので、電池無し(露出計無し)で感覚で撮影してみたら、意外に難しい。やはり表現には経験が必要なのだ、二眼レフの時はスマホのアプリを使って露出を決めてみたが、いまひとつ気に入らなかった。昔、質屋に売ってしまった一眼レフと同じイメージだが、「思い出」は信用できないし、見るからに怪しい。
新宿には滝がある
MINOLTA AL-E x ORIENTAL New Seagull 100
(昭和40年3月31日)淀橋浄水場は廃止された。この日は扇田彦一・水道局長も駆けつけ、志村匤造・場長以下、職員らが見守る中、紅白のリボンが結ばれた高地線ポンプ所中野線ポンプ操作盤起動レバーが「停止」位置に操作され、パイロットランプは「緑」現示、ポンプは停止。淀橋浄水場と西部支所の看板が下ろされ、挨拶で扇田は「70年の歴史を持つ淀橋浄水場は本日を以て閉庁したが、この施設は決して老朽した為に廃止するのではなく、今でも浄水場としての機能は立派に備えている。新宿副都心建設という大目的に協力しての東村山浄水場への移転に伴う廃庁であり、特に職員の皆さんが平常の業務と併せて移転業務を支障なく果たされたことを感謝する」と廃止を惜しんだ。 (Wikipedia)
立入禁止・新宿区
MINOLTA AL-E x ORIENTAL New Seagull 100
殺人現場としての《SMOKING AREA》とにかく許せないらしい。