写真について(2)

最近、物忘れが激しい。1983年に観た日本初公開の映画「ジュ・テーム…」がセルジュ・ゲンズブール監督、ジェーン・バーキン主演だったことさえ忘れていた。その頃の自分にとってはとても不思議な映画だった。ごみの舞うゴミ捨て場や、鉄さび色の水道水に満たされたバスタブが何故かきれいに思えた。今年はセルジュ・ゲンズブール没後30年で、日本でも「4K完全無修正版」リバイバル公開されていました。

好きな写真家の事を考えていて、忘れてしまっていることもあるかもしれないと、古い本や雑誌を引っ張り出して見てみた。綺麗だったり、面白いと思ったり、感服する写真はたくさんあるけれど、好きとは言い難い。絵画には好きな作家や作品もあるので、その方向に進んだのだと思います。

調べている中で、これは!と思った写真がありました。ソール・ライター。2013年に89歳で亡くなった写真家で、はじめて日本で紹介されたのが、没後4年も経った2017年。かつてはファッション写真家として活躍していましたが、つまらなくなってやめて、その後、自分の好きな写真を撮り続けました。その写真には、現代社会の日常に潜在している「芸術=神話」を見事に写しだされていました。